ちょっとだけ模型製作に役立つ話その9~排水量について~

前回は飛行機を飛ばす力である揚力について説明したので、今回は船の大きさや浮力に関係する排水量について簡単な説明をしたいと思います。これも夏休みの自由研究に使えるので、自由研究の題材に困っている人は参考にして下さい。

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=🐣水に浮く原理=

水よりも軽いものは水面に浮くことが可能です。水よりも軽い物って少ないのではと思うでしょうが、体積で考えるとどんな物でも浮かす事が可能になります。

水の重さは通常1gが1ml、1kgが1Lになります。体積は各辺1cmの立方体で1ml、各辺10cmの立方体で1Lになります。

では、1kgの鉄を水に浮かすにはどうすればいいでしょうか?

1kgの鉄の固まりを直接水に浮かすのは不可能ですが、鉄を加工すれば浮かす事ができます。水1kgの体積は各辺10cmの立方体になるので、1kgの鉄を加工して各辺10cmの立方体を製作すれば水と同じ重さになります。

鉄1kgを水に浮かすには水よりも軽くすればいいので、10cmの立方体すなわち10cm✕10cm✕10cm=1000立方センチメートル以上の体積になるように鉄を加工すれば水に浮かす事が可能になります。すなわち鉄1kgを一辺が10cmよりも長い立方体に加工すれば水に浮かす事ができます。

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=🐣排水量とは=

船の大きさを示す単位である排水量は、簡単に言うと水を押し出す量になります。上記で説明したように水に浮くためには、水の体積に対する重さよりも軽くすれば浮くことができます。

1t=1000kgなので、水1tの体積は各辺1mの立方体になります。0.5t(500kg)の鉄を加工して各辺1mの立方体を作って水にいれた場合、1立方メートルあたりの重さは鉄の方が軽いので鉄の立方体が水に浮かびます。

この時に立方体の高さ半分にあたる50cmが水に沈んだとした場合、水面下の体積は1m✕1m✕0.5m=0.5立方メートルになります。これは水の重さに換算すると0.5tになります。すなわちこの立方体は、0.5tの水を外に押し出した事になるので排水量は0.5tになります。

この立方体の上に200kgの荷物を乗せて、さらに20cm沈んだとします。その場合、水面下の体積は0.7立方メートルになり、排水量は0.7tになります。すなわち排水量とは、船の水面下の体積であり、船体や構造物の大きさや積載可能な重量の指標になるものです。

🐥ウォーターラインシリーズの模型で、パーツ化されていない吃水線以下の部分の体積が排水量になります。模型を作りながらでも排水量の大きさがなんとなく解るので、少し気にしながら製作してみて下さい。

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満載排水量は燃料や積み荷を最大に乗せた状態の排水量なので、満載排水量から船の重さと燃料を引いたものが最大積載量になります。

今回は水を真水として考えていますが、海水だと比重が異なるので排水量も少し変わってくるので興味のある人は調べてみて下さい。

=🐣まとめ=

排水量のしくみが解ると水に浮く力、いわゆる浮力のしくみも解ってくるので興味のある人はより詳しく調べてみて下さい。

体積が増えれば増えるほど水に浮きやすくなるので、水泳などで体が上手く浮かばなくて困っている人は、息を大きく吸って胸を膨らませたり、手足を伸ばすなどをして少しでも体積を拡げるイメージを持って水に入ってみて下さい。もしかしたら、簡単に浮くようになるかもしれません。

少し難しい話になりましたが、知っておいて損はない話だと思うので軽く頭の中に入れておいて下さい。

今回の記事はここで終了です。

🐔ちょっとだけ模型製作に役立つ話の記事一覧を下記に載せておきます。目次代わりに使用して下さい。

ちょっとだけ模型製作に役立つ話~金型について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その2~紙ヤスリについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その3~換気について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その4~【初心者向け】キットの選び方~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その5~静岡ホビーショーについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その6~不要パーツについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その7~接着剤について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その8~揚力について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その10~ハイオク車にレギュラーガソリンを入れると~

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