ちょっとだけ模型製作に役立つ話その8~揚力について~

みんなで飛行機遊びをしている中、自分の飛行機だけ飛ばなくて困ってる少年から見知らぬおっさんが飛行機を取りあげ、ちょこちょこっと手直しをして飛ばしてみると、飛行機が面白いように飛んでいく。飛行機に見とれていた少年が、お礼を言おうと振り返るともうその人はいない。

なんてシーンは一昔前の映画やアニメで見たことがある人も多いと思います。今回はそのような状況になった時に、映画に出てくるような、ちょっとダンディなおっさんになれる秘訣を説明します。夏休みの自由研究のネタにもなると思うので、自由研究の題材に困っている人もちょっと参考にしてみて下さい。

=🐣揚力とは=

飛行機が飛ぶには揚力が必要です。揚力とは物体の上下に強い空気の流れがあると発生する上向きの力です。身近な例だと、子供用のプラスチックバットを思いっきりフルスイングするとバットが浮き上がる感じがすると思います。これは、フルスイングする事で強い風がバットに当たって揚力が発生したからです。

空気の流れで考えると難しくなってしまうので、翼に強い風を当てれば当てるほど揚力が大きく発生すると思ってもらえばいいです。

=🐣揚力の発生しやすい条件=

飛行機模型を製作した事がある人なら解ると思いますが、航空機の翼は写真1、2のように前方が丸まっていて、後方は比較的シャープな感じになっています。

写真1
写真2

空気抵抗を考えると前後逆の方が良い気がしますが、実はこの形が揚力を発生させやすい翼の形状になっています。さらに上面には少し山なりの角度が付いていて、下面は比較的フラットな形状が、揚力をより発生させやすい形となっています。

写真3

=🐣フラップについて=

主翼の後方を下向きにずらして、翼自体を斜めにするとさらに揚力を得る事ができます。しかし翼が斜めの状態で航行すると空気抵抗をモロに受けてしまうので速度が遅くなってしまいます。

そのため揚力がより必要になる離着陸の時だけ、主翼後方にあるフラップを下げて翼が斜めになる状態を作り、より高い揚力を得られるようになっています。

写真4
写真5

離陸の時は解るけど、着陸の時はフラップを下げる必要がないのではと考える人もいると思うので簡単に説明します。

着陸時の速度は可能な限り低くしたいのですが、速度を低くすると翼に当たる風が弱くなり揚力が低下して墜落する危険性があります。失速による墜落の原因は、速度の低下によって揚力が減少してしまう事です。可能な限り低速で航行しながら、揚力を得られるようにするために着陸時にもフラップを下げているのです。

=🐣風向きについて=

飛行機を飛ばすには風向きも重要です。地上では滑走路が長ければ、滑走時の速度が上がるので問題なく離陸できます。。

しかし、第二次世界大戦中のカタパルトのない空母では滑走距離が短い状態での離陸が必要になります。発艦時は空母の速度を上げたり、風上に向かって進むなどをして、より翼に風を当てて揚力を増加させ短い距離でも離陸できるようにしています。

写真6

🐔以前映画紹介の記事で紹介した「ミッドウェイ」では、劇中で空母の速度が不足していたため、揚力を得られず戦闘機が海面に落下するシーンがあります。短いシーンですが興味のある人は観てみて下さい。下記に映画紹介の関連記事を載せておくので参考にして下さい。

プラモデルに関係する映画紹介その1~ミッドウェイ~         

=🐣ダウンフォース=

車のレース中継などでよく聞く言葉ですが、これも揚力が関係しています。レース車はスピードが出るので車体の上下に大きな空気の流れが発生します。そのため、高速走行時には大きな揚力が発生します。ちなみに車の場合、揚力はリフトフォースという言葉で表現される事が多いです。

車体が浮き上がれば、車体自体が軽くなってより速くなるのではと思うかもしれませんが、車体が浮き上がるとタイヤの接地面が小さくなりグリップ力が減少していまいます。タイヤのグリップ力が減少すると、コーナリング性能や加速性能が大きく低下します。

そのため、ウイングの角度や形を調節して下向きの揚力、すなわちダウンフォースを発生させてコーナリング性能を上げているのです。

🐥ミニ四駆やラジコンはスケール換算するとかなりの速度が出ていると思うので、ダウンフォースをより取り入れると案外コーナリング性能が上がるかもしれないです。興味のある人は是非試してみて下さい。

=🐣飛行機を上手に飛ばす方法=

最後に模型飛行機や紙飛行機を上手に飛ばす秘訣を3つ説明します。

1.翼の形状

揚力を得やすい形状の翼になるようにします。

2.翼の大きさ

翼が大きいほど、発生する揚力は大きくなります。バランスが崩れないように気をつけて、できるだけ大きな翼になるようにします。

3.投擲方法

翼に風がよく当たるように意識しながら、飛行機を飛ばして下さい。追い風よりも、軽い向かい風の方が揚力が強く発生するので同じ力で投げた場合、向かい風の方が上昇しやすいです。追い風の場合は、強く投げて翼に多くの風を当てるようにしてください。風に流されないように、ある程度の重りを機首に乗せる事も重要です。

以上3つの事を頭に入れておけば、飛行機遊びをする少年に出会った時、ちょっとダンディなおっさんになれるかもしれません。揚力について興味がある人は、詳しく調べてみて下さい。きっとよく飛ぶ飛行機が作れるようになると思います。

今回の記事はこれで終了です。

🐔ちょっとだけ模型製作に役立つ話の記事一覧を下記に載せておきます。目次代わりに使用して下さい。

ちょっとだけ模型製作に役立つ話~金型について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その2~紙ヤスリについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その3~換気について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その4~【初心者向け】キットの選び方~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その5~静岡ホビーショーについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その6~不要パーツについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その7~接着剤について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その9~排水量について

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その10~ハイオク車にレギュラーガソリンを入れると~

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