ちょっとだけ模型製作に役立つ話その10~ハイオク車にレギュラーガソリンを入れると~

前々回は飛行機、前回は船だったので、今回は車に関係する話をしようと思います。

近年ガソリンが著しく値上がりして、頭を悩ませている人も多いと思います。特にハイオク車に乗っている人は、悩みも大きいと思います。いっそレギュラーを入れてしまおうかと悩んでいたり、もう既にハイオク車にレギュラーガソリンを入れている人もいると思うので、今回はガソリンについて説明したいと思います。

=🐣ハイオクとレギュラーの違い=

オクタン値が高いガソリンの事をハイオクガソリンと言います。オクタン値が低いほどガソリンは爆発しやすくなります。すなわちレギュラーガソリンは、ハイオクガソリンよりも爆発しやすいガソリンになります。

爆発といってもエンジン内での事なので、ハイオクガソリンの方が安全ということではありません。両方とも引火性が非常に高く危険なので、取り扱いには注意が必要です。

=🐣エンジン内での爆発=

簡単に一般的なガソリンエンジンのしくみを説明します。エンジン内でシリンダーを上下運動させて発生した力を、動力に変換してタイヤを動かしています。

エンジン内では、噴霧→圧縮→爆発→排気この4サイクルを繰り返す事でシリンダーを上下運動させています。

噴霧とはガソリンを霧状にしてエンジン内に吹き付けることです。この状態で爆発させても高い出力は得られないので、シリンダーを上昇させ、ガソリンと空気を圧縮させて爆発力を上げます。圧縮した空気を点火プラグなどで爆発させてその力でシリンダーを押し下げます。最後に爆発でできた排気ガスを外に排出します。

この圧縮と爆発によるシリンダーの上下運動が動力になるので、爆発の力が大きいほど得られる力が高くなります。

エンジン内が高回転状態で高温になった時に、オクタン値の低いレギュラーガソリンだと圧縮途中で熱や刺激によって爆発してしまう場合があります。圧縮が完全ではない状態なので、その分出力は低下します。ハイオクガソリンは爆発しにくいので、高温でもきちんと圧縮する事が可能です。

=🐣ハイオクガソリンの利点=

エンジンが高温でも安定した高出力を得られる事ができます。市街地走行などはさほど馬力を必要としない箇所ではあまり違いが解らないですが、高速道路での追い抜きや、上り坂での加速時などは、不完全な爆発をしにくいハイオクガソリンの方が高出力を出しやすいです。

=🐣ハイオク車にレギュラーガソリンを入れるとどうなるか=

ここで簡単な事例を挙げます。日本海軍は太平洋戦争中に零戦のパワー不足を補うために、新型戦闘機の開発を行い、いくつかの新型戦闘機が実戦に投入されました。テスト段階では零戦よりも高性能だったのですが、実戦での戦果はあまり目立つものがなく戦局を変える事はできませんでした。

実戦時の不調にはいろいろな原因がありますが、そのうちのひとつにガソリンの問題があります。テスト飛行時はオクタン価の高いガソリンを使用していますが、太平洋戦争末期の日本は燃料事情が悪く、高度な精製が必要であるオクタン値の高いガソリンを前線で用意する事は不可能でした。

結局戦地では新型戦闘機もオクタン値の低いガソリンを使用するしかなく、テスト飛行時のような最高速や出力を発揮する事ができず、目立った戦果を上げるのが難しくなってしまいました。

このような事例にあるように、ハイオク車にレギュラーガソリンを入れると、故障するというわけではないですが、カタログ通りの出力を発揮するのは難しくなります。ハイオク車は上り坂や高速時の加速など、馬力が必要な時のエンジン性能が売りなので、この長所を燃料で消してしまうのはちょっと勿体無いような気もします。

逆にレギュラー車にハイオクを入れると、高回転時には多少の底上げはなると思いますが、値段に見合うものになるかどうかは判断しにくいです。

いろいろな事情があると思いますが、エンジンの性能がフルに発揮できる状態にすることをお勧めします。乗り方や使用方法によっては、ハイオクにする必要がないかもと思う人もいるでしょうが、いいエンジンを積んでいるのだったら、折角なのでそのエンジンを生かすようにするのもいいと思います。

今回の記事はこれで終了です。

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ちょっとだけ模型製作に役立つ話~金型について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その2~紙ヤスリについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その3~換気について~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その4~【初心者向け】キットの選び方~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その5~静岡ホビーショーについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その6~不要パーツについて~

ちょっとだけ模型製作に役立つ話その7~接着剤について~

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