プラモデルに関係する映画紹介その11~二百三高地~

今回は日露戦争の旅順攻略戦を描いた作品で、1980年に製作された『二百三高地』について紹介します。実話に基づいた映画ですが、主人公を中心とした戦闘部隊の場面はフィクションになっているため、ドラマ性もある映画になっています。『二百三高地』が興味深く鑑賞できるようにちょっと解りにくい箇所などを簡単に説明していきます。

🐥人気アニメのゴールデンカムイは日露戦争後の話ですが、日露戦争時のエピソードもいくつか劇中に出てきます。一度この映画を見ておくとさらに面白くアニメが見れると思うので、ゴールデンカムイに興味のある人も是非観てみて下さい。

🐦️下記に今回紹介する映画を載せておくので、参考にして下さい。

=🐣旅順とは=

満州にある軍港でロシア太平洋艦隊の本拠地になります。丘と海に囲まれている港町で、丘陵地帯にはロシア軍によって要塞化されていて、難攻不落の旅順要塞と呼ばれていました。

日本海軍は旅順のロシア太平洋艦隊が外洋に出られないようにするために、港口に船を自沈させて船舶が航行できないようにする軍事作戦を何度か行ったのですが、いずれも失敗に終わりました。そのため陸軍による陸地からの攻撃で太平洋艦隊の破壊と旅順港の占領を行う事になりました。

=🐣予備役=

主人公の古賀少尉は召集後に即少尉になっているのでちょっと驚いてしまいます。劇中で本人が「予備役だから召集された」と言っているので過去に軍隊勤務の経験があるようです。

ある程度の軍事訓練を受けた人が退役した場合は一般人として普通の仕事をするのですが、有事の際はその経験を生かして優先的に召集がかかります。この状態を予備役と言います。古賀少尉はロシアに精通していて、ロシア語の通訳としても活躍できるので、予備役でも召集後に即士官という扱いになったのではと考えられます。

=🐣第3軍=

この映画の中心となる軍隊です。常時ある軍隊ではなく、日露戦争時に新しく編成されたもので、旅順攻略の中心となる軍隊です。東京の第一師団、金沢の第九師団、香川の第十一師団で編成されています。ちなみに主人公は第九師団所属になっています。旅順攻略時の人的被害が多大だったため、途中から精鋭部隊である旭川の第七師団が旅順攻略部隊に加わる事になりました。

🐥ちなみに、ゴールデンカムイの主人公杉元佐一は第一師団所属です。鶴見中尉の第七師団と同じ第3軍所属だったので、直接会っていなくても噂話で互いを知る関係だったと思われます。

=🐣乃木将軍=

第3軍の司令官です。旅順の艦隊を砲撃によって壊滅させたり、後の奉天会戦でも活躍したので英雄と呼ばれていますが、旅順要塞への無謀な突撃を命令して多数の将兵の命を奪った将軍とも言われて、評価が分かれる人物です。明治天皇崩御の際に、夫婦揃って天皇の後を追い自刃した事が大きく知られています。

🐥ちなみに六本木にある乃木坂は、新築された乃木邸に向かう坂道だったので乃木坂と名付けられたそうです。

=🐣連合艦隊とバルチック艦隊=

劇中に言葉だけですがよく出てきます。連合艦隊は、日露戦争のために編成された艦隊の名称なので、日本海軍として考えてもらって大丈夫です。バルチック艦隊はロシアの精鋭艦隊の名称になります。ロシアは国土が大きく太平洋から、黒海、北極海などの海域に面しています。バルチック艦隊は黒海や大西洋を活動範囲とする艦隊で、日本近海に向かうには北極海の氷が邪魔をするのでアフリカ大陸の南から大きく迂回する必要があります。

バルチック艦隊が日本近海に到達すると、旅順の艦隊を牽制している連合艦隊が挟み撃ちに合ったり大陸へ向かう輸送船が襲撃させる可能性が高くなります。かといってバルチック艦隊に艦隊を向けると旅順港からロシア太平洋艦隊が自由に出航できるようになってしまいます。そのため、バルチック艦隊が日本近海に到達する前に旅順攻略をする事が勝利への必須条件となったのでした。

=🐣二百三高地=

映画の中盤まではこの二百三高地という単語はあまり出てきません。当初は二百三高地の奪取は主な作戦目標ではなく、あくまでも旅順要塞の正面攻略が目標でした。周囲の要塞が堅固なため、二百三高地を攻略しても周囲の要塞から砲撃を受けてしまう可能性が高かったからです。

しかし、損害があまりにも大きく残り時間も無くなってきたので、やや手薄な二百三高地を攻略しそこに大砲を設置して、旅順港の艦隊を直接砲撃する作戦に変更されました。そのため、映画の前半は要塞正面からの攻略、中盤以降は二百三高地での戦闘となっています。映画の最初から二百三高地をめぐる戦いではないので注意して下さい。

=🐣関連する模型=

艦船模型は多数発売されているのですが、まだ戦車が存在していなかった時代なので、陸軍関係の模型はほとんど発売されていませんが、ピットロードから劇中の中盤から活躍する二十八糎榴弾砲 が発売されています。この大砲は二百三高地攻略のために国内に配備されていたものを急遽輸送して設置させた砲です。劇中には何度も登場するので、興味のある人はチェックしてみて下さい。

🐦️1/35、1/72スケールで発売されています。下記に載せておくので、興味のある人は参考にしてみて下さい。

=🐣まとめ=

実話ベースの映画ですが、ノンフィクション部分とフィクション部分がきれいに別れているので、ドラマ性もしっかりしていて180分と長い映画のわりには最後まで飽きずに観ることができる映画になっています。とくに最後の乃木将軍が明治天皇に戦果報告をする場面は、息の詰まるような迫真の演技で必見です。あまり詳しくは知られていない日露戦争ですが、約120年前に起きた出来事を知るにはちょうど良い映画です。

興味を持った人は是非鑑賞してみて下さい。

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