プラモデルに関係する映画紹介その3~遠すぎた橋~

今回はジオラマの舞台になったマーケット・ガーデン作戦を題材にした映画『遠すぎた橋』を紹介していきます。

🐦下記に載せておくので、参考にして下さい。

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=🐣遠すぎた橋=

40年以上前に公開された映画です。第二次世界大戦中に連合国が行った最も無謀な作戦と言われている、マーケット・ガーデン作戦を題材にしたものです。当時のスターの豪華共演や、莫大な制作費で話題になりましたが、興行収入はいまいちだった作品です。決してつまらない訳ではないのですが、3時間の長い映画の割には説明が少なく予備知識がないとつらい映画になっています。

史実を忠実に再現しているため、登場人物や登場部隊が多く、ドラマ性が若干足りないため何も知らずに観るとストーリーが難解で混乱してしまいます。今回は『遠すぎた橋』を面白く観るための予備知識を説明をしていきます。

写真1

=🐣マーケット・ガーデン作戦=

1.当時の状況

映画の冒頭に軽く実写映像と共に、当時の状況説明がありますがちょっと解り難いので簡単に説明します。

1944年6月のノルマンディー上陸作戦を成功させた連合軍はパリを解放して、ドイツ本国を目指して進撃していきます。わずか3ヶ月でオランダ、ドイツ国境付近まで進出しました。しかし、進行が早過ぎて、ノルマンディーより東にある主要なフランスの港町を完全に制圧する事が出来ずにいました。そのため補給港の不足により、補給路が伸びきってしまい、そこで一旦進撃は止まってしまいました。

2.マーケット・ガーデン作戦

そこで発案されたのがマーケット・ガーデン作戦です。ベルギー国境からドイツ占領下のオランダを縦断し、ドイツ国境付近のアルンヘムに進行し、オランダの港町を解放して補給路を確保し、さらにドイツ本国に進行するという作戦です。

作戦開始地点からアルンヘムまでは100kmで、その途中に橋がいくつかあります。その橋を爆破されたら進行が止まってしまうのため、先に空から空挺部隊を送り込み橋を確保して地上部隊の進行を援助し、地上部隊は一気にアルンヘムに向かうという作戦です。

🐥100kmは箱根駅伝の片道分です。駅伝のランナーの速度で走行すれば、6時間程で到着できる距離になります。

3.参加部隊

この映画の難解な部分は参加部隊が多すぎて、どの部隊が何処にいるのか解らない事です。これを簡単に説明していきます。

まずは地上部隊はイギリス陸軍です。アルンヘムまでの一本道を進む事になります。一本道のため、途中で車輌の故障や攻撃によって立ち往生が発生すると、進撃が止まってしまう危険性があります。また、戦車、歩兵、補給部隊など走行速度が異なる部隊が同じ道を使用するので、非常に縦長の列になってしまいます。

最初の橋を確保する役目は、アメリカの第101空挺師団になります。目印は左肩にある鷹のワッペンになります。劇中では葉巻を加えた将校が指揮官の部隊です。

次の橋を確保する役目はアメリカの第82空挺師団です。軍服が第101空挺師団と同じなので、区別し難いですが左肩に赤地の上にAの文字が2つ書かれているワッペンをつけています。ワッペンに注目して区別するといいと思います。

最後のゴール地点にいるのが、イギリスの第1空挺師団です。イギリスの空挺部隊は赤いベレー帽をかぶっているので比較的簡単に判別できます。

ポーランドの第1空挺旅団もイギリス第1空挺師団に組み込まれています。最初の作戦会議の場面で、作戦を批判していたのがポーランドの空挺部隊の指揮官です。作戦初日の降下ではなく、追加兵力として2日目以降に降下する予定の部隊です。

=🐣イギリス空挺部隊について=

アルンヘムでのイギリス空挺部隊の状態が、映画だとハッキリしないため何も知らずに観ると理解し辛いです。

最初の作戦会議でも説明していましたが、降下地点はグライダーが着陸可能な地点を選んだので、火砲やジープなども降下させる事ができるかわりに、目標の橋から10km以上離れた場所です。そこから一部の部隊が、1アルンヘム市街の橋まで移動する計画でした。

この作戦には10000人のイギリス空挺部隊が、アルンヘムに降下しました。全ての兵員が橋の確保に向かうのではなく、2000人程の兵力で橋を確保し、残りの8000人でアルンヘム市街に向かってくるドイツ軍の援軍を迎え撃つ予定でした。そのため、劇中では作戦初期の師団本部が比較的のんびりした雰囲気で映像化されています。

しかし、予想よりもドイツ軍の展開が早く、結局アルンヘムの橋にたどり着いたのはフロスト中佐が指揮する700人の空挺部隊のみでした。この700人が橋を賭けての攻防をする事になります。前回製作したジオラマはこの時の戦闘を再現しています。

写真2

劇中で、第1空挺師団のアーカード少将が突然ドイツ軍に包囲され民家に隠れる場面があります。これは史実を再現したもので、実際にアーカード少将はアルンヘムの橋にいる部隊と連絡をとるために移動している際、ドイツ軍に包囲されてしまいます。実際に民家に隠れて難を逃れたのですが、一時的に行方不明扱いになってしまった有名なエピソードがあります。

このエピソードを知っていれば上記のシーンは問題ないのですが、知らないと突然ドイツ軍に包囲された状態から始まるので状況が解らず混乱してしまいます。

=🐣まとめ=

3時間近い映画で、史実を再現した物なのでやや退屈する箇所もありますが、事前に少し予習をしておけば映画が楽しめると思います。

この作戦が無謀を言われている原因は、作戦開始前にいろいろな問題があったにもかかわらず、現場を知らない上層部が強引に進めた作戦だからです。映画の最後にアーカード少将が作戦参謀に結果を報告した際に、参謀が少将に言ったセリフがすべてを物語っています。コロナ過で緻密な対策もないままオリンピックを強行した政府に似た感覚でした。そういう点でみると、結構考えさせられる映画なので時間があったら視聴してみて下さい。

🐦下記に載せた書籍の冒頭はマーケット・ガーデン作戦の特集になっています。現在の写真や、当時の写真が載っているので興味のある方は読んでみて下さい。

ヨーロッパ空挺作戦 (歴史群像シリーズ―欧州戦史シリーズ)

🐔アルンヘムの戦闘のジオラマ製作記事を下記に載せておきます。

【初心者向け】初めての簡単ジオラマ製作方法(アルンヘム 1944)~①準備編~         

🐔映画に関する記事一覧を載せておきます。目次代わりに使用して下さい。

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