今回は金型について少し説明していきます。模型製作にはあまり関係ありませんが、知っておくと少しだけ役に立つ事があるかもしれません。気軽に読んでみて下さい。
=🐣金型について=
プラモデルは金型を使用して製造されています。金型に彫刻をして型を作り、プラスチックを流し込んだ後に金型を外すとランナーに付いた状態のプラモデルが出来上がります。
イメージ的にはたい焼きと同じような感じです。たい焼きの側面についている線がパーティングラインになります。異なる点は、たい焼きは生地を鉄板で上下に挟む事で鯛の模様を作りますが、プラモデルは上下合わせた金型にプラスチックを流し込む事でモールドを作っていきます。
そのため、生成するのが難しいパーツなどが出てきます。これからペットボトルで簡単に説明していきます。
まずは写真1のようなペットボトルのパーツを、金型で作るとします。
写真2のように赤線の部分を金型の合わせ目にすると、矢印の方向に金型が動いていくので特に問題なくペットボトルと同じ形のパーツが出来上がります。
今度は写真3のように赤線部分を金型の合わせ目にすると、金型が外れる時に矢印の方向に動くので、青丸で囲んだ部分が引っ掛かってしまいます。こうなると、プラスチックが金型から外す際に、パーツ自体が破損してしまうので上手く形成出来ません。
このように同じパーツでも、金型の合わせ方によっては形成不可能になる場合があります。
次に写真4の青線と黒線をキットのモールド、赤線が金型の合わせ目だとします。金型は矢印の方向に移動するので、黒い部分のモールドは特に問題ないのですが、青い部分のモールドは側面に近づく程、金型の動きの影響を受けやすくなります。そのため側面に近い青のモールドは浅くなるか、省略されてしまいます。
パーツ上面のモールドはハッキリしているのに、側面のモールドが消えていたり、ぼんやりしている原因はこのためです。
最近の艦船模型では、船体が左右貼り合わせるタイプが多くなっています。昔のバスタブタイプの船体だと側面のモールド表現に限界が出てきますが、貼り合わせタイプにする事で、側面の窓や船体の継ぎ目などをハッキリと表現する事が可能になります。
細かい仕組みは解りませんが、簡単なスライド金型についても説明しておきます。写真5の黒線のようにペットボトルの底をへこませたパーツを形成したい場合に使用します。
このような場合は通常一つにパーツにするのではなく、上下二つのパーツに分割して接着する事によってへこみを表現します。細かいパーツで分割が難しい場合、へこみは省略するしかありません。しかしここで、写真6のように側面にも金型を作る事によって、へこみを表現する事が可能になります。
①と②の金型は通常通り矢印方向に動きます。ここでもう一つ青線部分の金型を側面に作り、これを③の金型とします。この③の金型は矢印のように側面にスライドするように動きます。すると、写真5のようなパーツを一つのパーツで成形する事が可能になります。
カーモデルの車体や、戦車の砲身、航空機の機銃などに使用されている場合があるので、チェックしてみて下さい。一つのパーツなのに、砲口や銃口が表現されているパーツはスライド金型を使用しています。
ただし、スライド金型はコストがかかるのと、金型が横にスライドするのでランナー中央部分では使用できず、ランナー側面のパーツにしか使用できません。そのため使用されている部分は少ないですが、見つけた時はなぜスライド金型にしたか考えてみるのも結構面白いです。
模型製作にはあまり役立ちませんが、金型の事を知っておくと組み立て前のランナーを見ても少し楽しむ事ができます。製作した人のこだわりや、強調したい箇所などパーツ分割の仕方でなんとなく解る所もあるので、余裕がある時はちょっと意識して見てみて下さい。
🐔ちょっとだけ模型製作に役立つ話の記事一覧を下記に載せておきます。目次代わりに使用して下さい。
ちょっとだけ模型製作に役立つ話その4~【初心者向け】キットの選び方~