前回はナースホルンの戦闘室を製作しました。今回はフィギュアの製作になります。
🐔前回の記事を下記に載せておきます。参考にして下さい。
【初心者向け】対戦車砲と榴弾砲の違いを比べながら製作!(タミヤ 1/35 ナースホルン フンメル)~④戦闘室の製作(ナースホルン)編~
🐦️今回使用しているキットを下記に載せておきます。参考にして下さい。
タミヤ(TAMIYA) 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.335 ドイツ陸軍 重対戦車自走砲 ナースホルン
タミヤ(TAMIYA) 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.367 ドイツ重自走榴弾砲 フンメル 後期型
=🐣3Dスキャン製のフィギュアについて=
現在ではタミヤ製品のフィギュアは3Dスキャン製のフィギュアになっています。このナースホルンは造形フィギュアから3Dスキャン製に移行した初期段階のキットなのでやや難点があります。今回はその難点を製作しやすいように加工していきます。
3Dスキャンフィギュアは、その名の通り人物をスキャンして製造したフィギュアで、非常にリアルな服のシワ表現が見せ場です。しかし、スキャンで正確に実測しているので誇張した表現は苦手で、モールドが抑えられてしまっている箇所がいくつか出てきます。
例えば、1/35フィギュアのポケットの厚さを1mmで再現した場合、単純に換算すると実際のポケットの厚さは3、5cmになります。フィギュアでは1mm厚のポケットのモールドは珍しくないですが、実際だと厚さ3、5cmのポケットになってしまうので、物をパンパンに詰めた状態以外はちょっと無理があります。
このように、実測値を正確に再現してしまうと、物を入れていないポケットなどの薄い部分は、薄い線のようなモールドになってしまいます。正確な縮尺なのでこれが正しいのですが、色を塗ろうとするとモールドの位置や形がいまいち解らなくて苦労してしまう場合があります。
最近のキットではデジタルとアナログを融合させて上手く調節しているみたいで、ポケットや襟元などのモールドはハッキリ解るようになっていますが、初期のタイプにはモールドの甘い部分が目立つフィギュアもあります。今回はそういったフィギュアを塗装しやすいように加工していきます。
=🐣フィギュアの加工=
写真1はナースホルンに付属しているフィギュアです。服のシワは良い感じなのですが、ポケットの位置や上着の合わせ目、上着とズボンの境目など、ちょっと判別しにくい部分が存在します。

ポケットのカバーや上着の合わせ目部分を写真2、3のように、エポキシパテを使用して塗装しやすいように少し誇張します。塗装する際に、明暗が付け難そうと思った箇所を中心にパテ盛りをします。
🐦️今回使用したエポキシパテを下記に載せておきます。参考にして下さい。
タミヤ メイクアップ材シリーズ No.51 エポキシ造形パテ(速硬化タイプ) 25g
パテ盛りした後にラッカー系溶剤を浸した筆で撫でると、表面が滑らかになるのでヤスリがけの必要もなくなります。ラッカー溶剤で撫でた際は、表面が柔らかくなるので若干硬化が遅くなるります。硬化するまで触れないようにして下さい。

ボタンはパテで作るのはちょっと大変なので伸ばしランナーで製作します。ボタンを付ける部分に爪楊枝などで軽く窪みを作っておきます。

一見難しそうな作業ですが、モールドが甘い部分にパテを盛り付けて形を整えるだけなので、見た目よりは簡単な作業になります。フィギュア改造の第一歩にピッタリの作業なので、フィギュア改造に興味のある方はちょっと挑戦してみて下さい。
=🐣ボタンの製作=
パテが硬化したらボタンの大きさに合わせて、写真4のように伸ばしランナーを製作します。
🐔伸ばしランナーについて詳しく説明した記事を下記に載せておきます。参考にして下さい。
【初心者向け】簡単ディテールアップ法 ~伸ばしランナー基本編①~

伸ばしランナーを適当な長さで切断して、写真5ようにボタンを付ける部分に瞬間接着剤で取り付けます。

伸ばしランナーが固着したら、写真6のようにニッパーで伸ばしランナーを切断すればボタンの完成になります。

パテで複数のボタンを作ろうとした場合、大きさや形を均一にするのは難しいですが、伸ばしランナーだと簡単に形や大きさを均一にする事ができるので、パテの扱いに慣れていない人にはお勧めです。
=🐣親指の製作=
写真7のフィギュアは両手で砲弾を抱えている状態になります。両者とも親指が小さく感じるので、そのまま砲弾を持たせるとちょっと不自然な感じになります。

砲弾をしっかりと持った状態にしたいので親指の加工をします。まずは写真8のように両手の親指を切断します。

親指のない状態で砲弾を写真9のように接着します。砲弾は余った真鍮製の砲弾があったので、それを使用しています。塗装を考えると金属製砲弾の方が良いと思うので、手元に余っているのがあるなら金属製の物を使用して下さい。
🐥金属製砲弾を使用すると、フィギュアの塗装中に塗料が付着してしまってもナイフで削り取ったり溶剤で拭き取る事が可能です。パテ跡が汚くなってしまった時は、硬化前ならラッカー溶剤で拭き取る事も可能です。また、薬莢部分を塗装する必要はないので、金色の塗料がフィギュアの服や肌に付着する事も防ぐ事ができます。
🐦️下記にナースホルンで使用できる金属製砲弾を載せておきます。ナースホルンはタイガーⅠと同じ88ミリ砲なのですが、砲身の違いから使用する砲弾の形状が異なります。金属製砲弾を使用する場合はキングタイガー用の砲弾を選択して下さい。
タミヤ(TAMIYA) 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.166 ドイツ陸軍 キングタイガー用 砲弾セット

砲弾の底を押さえる感じで左手の親指を写真10のように製作します。これも一見難しそうですが、親指だけなので簡単な作業になります。親指部分にパテを盛って指の形に整えていきます。親指の大きさが不自然にならないように、使用するパテの量を上手く調節して下さい。

右手の親指も写真11のように製作します。砲弾に密着するようにすれば重いものを持っている感じが増して、砲弾をしっかりと抱えているように見えます。

親指は金型の関係で、キットそのままの状態だと物を掴んでいるように見えない場合があります。銃などを握らせる際は親指だけでも自作すれば、握っている感じが増してよりリアルな仕上がりになります。
5本の指を自作するのは難しいですが、親指だけなら意外と簡単に製作可能です。実際やってみると、思っている以上に見た目の効果が高いのでお勧めの作業です。パテでの改造に興味のある方は是非挑戦してみて下さい。
フィギュアの加工が終了した状態が写真12、13になります。オープントップ車両ですが、四方を装甲板で囲まれているため足元などはほとんど見えないです。仮配置をしながら、見える部分を中心に加工してみて下さい。

砲身に装填する兵士の砲弾が、砲尾の高さと微妙にずれる場合は、靴底にパテを盛って少し厚底にしたり、靴底を削って低くするなどして調節する事も可能です。戦闘室に配置すると足元はほとんど見えないので、靴底の高さは全く気にならないです。大きなズレは無理ですが1~2mm程度のズレなら靴底でごまかす事ができます。腕の位置を変えて調節するよりもずっと簡単なので、微妙に位置が合わない時は靴底で調節してみて下さい。

3Dスキャン製のフィギュア以外でも、金型の関係でモールドが弱い部分があるフィギュアもあります。普通に塗るだけなら問題ないですが、明暗を付けて塗装をする場合はモールドが頼りになるので、モールドの弱い部分は明暗を付けるのが難しくなります。そういった時は今回のようにパテで誇張させれば、明暗を付けるのが楽になります。
フィギュアのディテールアップとしてパテで加工をするのは、敷居が高いと感じてしまいますが、塗装を楽にするためと考えれば手を出しやすくなります。こうした作業に慣れると、ポーズ変更なども抵抗なく作業が出来るようになるので、フィギュア改造に興味のある方は、塗装しやすいように加工してみる事から始めてみて下さい。きっと製作の幅が大きく拡がると思います。
🐔フィギュアの改造について詳しく説明した記事を下記に載せておきます。興味のある方は読んでみて下さい。
【初心者向け】簡単!1/35フィギュアの改造と塗装法~①準備編~
今回はここで終了です。次回はフンメルの戦闘室とフィギュアの製作になります。
🐔今回の記事一覧を下記に載せておきます。参考にして下さい。