前回は重ね塗りについて説明しました、今回は今まで説明した事を応用した塗装法を説明します。
🐔前回の記事を下記に載せておきます。参考にして下さい。
=🐣迷彩塗装について=
境目をボカシた迷彩塗装は筆塗りの弱点になります。ドライブラシの要領で、迷彩模様の境目を叩くように塗料をのせていけばボカシ塗装は可能ですが根気と労力が必要です。大型キットの場合はこのように、迷彩模様のフチをドライブラシで根気よくボカシていきます。
筆ムラが目立たないような小スケールの場合は、思っているよりも簡単にボカシ塗装ができます。ボカシ迷彩ではない迷彩塗装の車両は、遠目の写真でも境目っがクッキリしているので、ボカシ迷彩ではないと解ります。という事は、境目がハッキリしていないならボカシ迷彩に見えるという事になるので、それを利用してボカシ迷彩をします。
1.迷彩塗装
基本塗装が終了したら、塗装図を参考にして迷彩塗装を行います。~その5~で説明したように、重ね塗りは何度も筆を動かすと下地が溶け出す可能性があるので、筆運びは1~2回で済まして続きは次の日以降に塗装します。迷彩模様は必ず一回り小さく塗装をするようにして下さい。
2.ボカシ塗装
迷彩塗装が終了したら、薄めにした塗料で迷彩塗装の縁をなぞるようにして塗装をします。溶剤を多めに混ぜているため下地が溶け出す可能性があるので、この作業は1日1回程度にした方がいいです。2~3日かけて、迷彩の縁を薄めた塗料でなぞっていくと、クッキリした境目が少し薄くボヤけた感じになっていきます。近距離で見ると迷彩塗装に薄くフチドリをした感じに見えますが20~30cm程離れるとボカシ迷彩に見えてきます。
縁をなぞっていくので、どうしても迷彩模様が太くなってしまいます。そのため迷彩模様の塗装は一回り小さく塗装をして下さい。縁がハッキリした迷彩塗装の時でも、筆で縁を調節した方がきれいに仕上がるので、筆塗りの時は迷彩模様を一回り小さくするようにして下さい。
先に薄めた塗料でフチドリをして、中身を塗りつぶした方が楽と思うでしょうが、それをすると薄めた塗料と通常塗装の境目がハッキリ出来てしまうのでお勧めできません。面倒ですが、迷彩塗装後に細い筆で境目をなぞるようにして下さい。
小スケールなら境目がハッキリしないだけで、ボカシ迷彩に見えるのでお勧めです。
🐥基本塗装をラッカー系やアクリル系で行い、迷彩塗装をエナメル系で塗装して縁を溶剤でボカす方法もあります。自分に合った塗装方を試してみて下さい。
写真1のような筆塗りの方か簡単にできる迷彩塗装もあります。キットを選ぶときの参考にして下さい。
写真の迷彩塗装はアクリル塗料の筆塗りで行い、迷彩模様境目の黒ラインは失敗しても拭き取る事ができるエナメル塗料を使用しています。
=🐣サーフェイサー代わりに=
形成色が濃いキットに、形成色と系統の異なる色を塗装するのは大変です。通常はサーフェイサーなどを吹き付けて形成色を一度消してから基本塗装をします。しかし、塗装ブースなどの関係でエアブラシを使用できない場合は、サーフェイサーの吹き付けも不可能と考えられるので、簡単な筆塗りでの解決策を説明します。
まずは、使用する系統以外の塗料を使用して基本塗装をします。アクリルを基本使用する場合は、ラッカーかエナメルで、エナメルを基本使用するならば、ラッカー系かアクリル系で基本塗装をして下さい。この時はムラを気にせず全面に塗装するようにします。
基本塗装が終わったら、いつも使用している塗料で基本色を重ね塗りします。下地に違う系統の塗料を使用しているため、何度も筆を動かしても下地が溶け出す心配がなく、さらに同じ色で下地塗装をしているので色が着きやすくなっています。さらに、下地塗装のムラを活かすように塗装をすると、独特な表現の塗装も可能になります。
🐥基本使用する塗料がラッカー系だと、この方法は難しいのです。エナメル、アクリル系を基本塗料として使用している方は参考にして下さい。
=🐣まとめ=
コクピットの細部塗装や、汚し塗装など完成度に大きく関わる塗装は筆塗りです。エアブラシを使用しても、結局筆塗りが最終的な完成度を左右させるので、筆塗りを上達させる事はとても重要です。
筆塗りは手作業のためエアブラシでの塗装とは違い、十人十色の仕上がりになります。そのため、自分に合った塗料や塗装法を見つける事が上達への近道です。筆運びの方向や力の加減が違うだけでも仕上がり具合が異なるので、まずはいろいろ試しながら筆を動かして多くのキットを完成させて下さい。
筆塗りは難しいですが可能性は無限大です。エアブラシ塗装は画期的な性能を持ったハンドピースが発売させない限りは、現状のままだと思いますが、筆塗りは発想と工夫と技術で考えられないような塗装をする事も可能です。
最近ネットで、ガンダムをクリスタル風に塗装した作品を見ました。見る方向や角度は限定されてしまいようですが、発想力と技術にビックリしました。これが筆塗りで出来るという事は、ちょっと古いですがシュワルツェネッガー主演の映画プレデターで、プレデターが使用していた光学迷彩も筆塗りで表現出来る可能性があるという事です。
3次元では再現不可能だと思われているものが、塗装で表現できたら凄い事だと思います。この記事を読んで筆塗りを極めて見たいと思った方は、是非プレデターの光学迷彩や、ターミネーター2に出てきた液体金属の表現などに挑戦してみて下さい。
🐦️筆塗りについての書籍を下記に載せておきます。こちらも参考にしてみて下さい、
いろいろ長くなりましたが、筆塗りについて記事は今回で終了です。
今回の記事で参考になるような箇所があったら、その部分を意識しながら塗装をしてみて下さい。きっと上達していくと思うので、焦らずにゆっくりと自分に合った筆塗りのコツを探してみて下さい。
🐔今回の記事一覧を下記に載せておきます。目次代わりに使用して下さい。