前回は使用するキットなどについて説明をしました。今回は榴弾砲と対戦車砲について簡単な説明をします。
🐔前回の記事を下記に載せておきます。参考にして下さい。
【初心者向け】対戦車砲と榴弾砲の違いを比べながら製作!(タミヤ 1/35 ナースホルン フンメル)~①準備編~
🐦️今回使用するキットを下記に載せておきます。参考にして下さい。
タミヤ(TAMIYA) 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.335 ドイツ陸軍 重対戦車自走砲 ナースホルン
タミヤ(TAMIYA) 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.367 ドイツ重自走榴弾砲 フンメル 後期型
=🐣榴弾砲と対戦車砲の違い=
榴弾砲と対戦車砲の大きな違いは砲弾の軌道になります。まずは、以前製作した上田城を使用して軌道の違いを説明します。
対戦車砲は写真1にある赤線のように水平に近い軌道になります。対戦車砲は砲弾の運動エネルギーを利用して物質を破壊するので、より固い砲弾とより速い発射速度が求められ、対象物が照準器で目視出来る状態での砲撃になります。

榴弾砲は写真2にある青線のように放物線を描くような軌道になります。軌道が山なりになるので、砲弾の運動エネルギーよりも砲弾内に詰められた火薬や散弾の量で破壊力が左右されます。そのため、榴弾砲は大量の火薬や散弾を詰めた巨大な砲弾をより遠くに飛ばす事が求められます。この火薬や散弾を詰めた砲弾を榴弾と呼びます。
榴弾砲は対象物の座標が解れば砲撃可能なので直接照準器で目視する必要はなく、城壁に囲まれでいる場所や山や丘の向こう側にも砲撃をする事が可能です。これは間接照準と呼ばれるもので、砲撃対象物が見える位置に観測者を配置する事でより正確な砲撃をする事ができます。

榴弾は砲弾の爆発や飛び散る散弾でダメージを与えます。そのため、地表よりも空中で炸裂した方が破壊力が増す場合もあるので、信管を調節して爆発のタイミングを調節する事も可能です。
対戦車砲でも榴弾は発射可能ですが、対戦車砲の軌道で榴弾を破裂させると写真3のように前面に向かって散弾や破片が飛ぶので、破裂した正面に障害物があると効果が激減してしまいます。

榴弾砲の軌道だと上から砲弾が落下するので、写真4のように広範囲に散弾を撒き散らす事が可能になり、障害物に関係なく面の制圧がしやすくなります。

榴弾砲には特に決まった定義はないです。榴弾を発射できれば榴弾砲という訳ではなく、榴弾を発射するのに適している砲を榴弾砲として考えると解りやすいと思います。
=🐣砲弾の違い=
対戦車砲の砲弾は徹甲弾と呼ばれるものが主流になります。徹甲弾にもいろいろ種類がありますが、運動エネルギーで物体を破壊するために弾頭が固く作られています。また、高速で打ち出せるように空気抵抗が少ない形状になっています。
直接照準で対象を破壊するので、初弾を外すと相手に位置がばれてしまいます。そのため次弾を素早く発射する必要があり砲弾は薬莢と一体化しています。一体化した薬莢に砲弾を打ち出すための火薬が一定量が詰められているので、同一の砲弾ならば射程距離は均一になります。写真5の下が対戦車砲の砲弾になります。

榴弾は詰められた火薬や散弾の量で破壊力が変わってくるので、やや巨大な砲弾になります。高速で打ち出す必要もないので、徹甲弾よりもやや太めになっています。写真5の上が榴弾になります。
対戦車砲のように次弾の発射を急ぐ必要がないので、薬莢と砲弾は別々になっています。そのため、薬莢に詰める装薬量を調節する事で射程距離を伸ばしたり縮めたりする事ができます。榴弾砲は装薬量で飛距離が大きく変わるので、対戦車砲よりも射程の幅は大きくなります。
=🐣砲身の違い=
使用する砲弾の種類によって砲身も異なります。
徹甲弾は打ち出す速度が速いほど破壊力が増していきます。砲身を伸ばす事で砲弾の初速は速くなるので、対戦車砲の砲身は長めに作られています。
一方榴弾は中に入れる火薬や散弾の量が多いほど破壊力が増していきます。そのため、巨大な砲弾を遠くに打ち出せるように砲身は太くなっています。初速は特に拘る必要はないので、対戦車砲ほどの長さは必要ないです。
=🐣フィギュアの違い=
上に挙げた両者の違いを比べてみると、使用するフィギュアの状態も大きく変わる事が解ってきます。形状が似ているので互換性がありそうですが、砲撃状態を製作する場合は大きく異なるので注意して下さい。
対戦車砲は直接照準で敵を破壊するため、砲手は照準器を覗いた状態、砲弾を装填する兵士は次弾も直ぐに装填できるように次弾の準備をしています。さらに、敵よりも早く発見しなくてはいけないので、周囲を双眼鏡などで警戒する兵士も必要です。そのため、砲撃状態の場合は全体的に緊張感のある雰囲気になります。
一方榴弾砲は間接照準なので、照準器を覗く必要はなく指定された座標に砲弾が着弾するように砲の角度などを調節するだけになります。次弾を急ぐ必要はないですが、薬莢に装薬したり信管を調節する必要があるので、ある程度の作業スペースが必要になります。
そのため、榴弾砲の戦闘室に配置するフィギュアは対戦車砲ほどの緊張感はない感じで、ある程度の作業スペースが確保できる人数に限られます。当時の写真を見ると戦闘室に3人いれば滞りなく砲弾が発射できたようです。
以上が対戦車砲と榴弾砲の大きな違いになります。もっと細かい違いがありますが、それは製作をしながら説明していきます。
今回はここで終了です。次回から組み立て作業になります。