以前、デカール修復液を使用した古くなったデカールの修復方法を説明しました。今回はデカール修復液を使用しても、破損してしまった場合の修復方法について説明をします。
🐔デカール修復液についての記事を下記に載せておきます。参考にして下さい。
【初心者向け】劣化してバラバラになるデカールの修復方法(リキッドデカールフィルムの使用法)~その1~
=🐣デカールの劣化について=
今回はファインモールドから発売されている写真1の隼三型を使用します。このキットは15年以上前に購入したものなので、デカールがかなり劣化していました。
🐦️今回使用しているキットは同社の別売りシートベルトを付属して再販される予定です。下記に載せておくので、参考にして下さい。
ファインモールド 1/48 航空機シリーズ 帝国陸軍 一式戦闘機 隼三型 甲

ここで注意して欲しい事は、古いキットのデカールが劣化しやすいのではなく、購入してから時間が経過したデカールが劣化しやすいという事です。古いキットでも再販されたばかりの物はデカールに問題はないですし、新しいキットでも保管状況が悪ければ劣化しやすくなります。
私の経験上だと保管状況やメーカーにもよりますが、購入から5年経過するとのり成分の低下、10年経過すると表面のひび割れが起こりやすくなります。購入した時期を何となく覚えておくと、デカールの状態を判断しやすくなります。しばらく製作する予定のないキットは、購入した日時を記載したメモやレシートを箱の中に入れておくのも良いと思います。
デカールが劣化している場合、注意するべき事はひび割れが広がらないようにする事です。乾燥した状態でも台紙を丸めたり折ったりすると、それだけでデカール部分のひび割れが広がってしまうので、劣化してるかもと感じたら台紙は曲げたり丸めたりしないようにして下さい。
不要のデカールを使って状態を確認するのも大事です。大抵のキットには製作する機体を選べるように複数の機体のデカールが同封されています。デカールの状態が微妙だと思った時は不要デカールで試してみて下さい。台紙から剥がしたり少し力を入れて上から押した時に、バラバラにならないようならそのまま使用できます。デカール細かくちぎれてしまうようなら、デカール修復液の使用をお勧めします。
🐦今回使用しているデカール修復液を下記に載せておきます。参考にして下さい。輸入品のため在庫は安定していないので、手持ちのキットで使用したい物がある場合は、在庫があるうちに購入しておく事をお勧めします。1本あれば十分な数のデカールを修復できるので興味のある方は在庫がある時に早めに購入してみて下さい。
=🐣劣化したデカールの選択=
デカールを貼る状態まで製作した状態が写真2になります。デカール貼りは製作終盤の作業なので、ここで劣化が原因でデカール貼りを失敗してしまうとかなりテンションが下がります。
劣化したデカールの対処法で一番良いのは、メーカーのアフターサービスでデカールのみ新しく再購入する事です。もし、デカールを貼る状態まで製作した機体の出来が予定以上に上手くいった場合は、素直にアフターサービスを利用する事をお勧めします。
海外メーカーなどで取り寄せが難しい場合や、アフターサービスに注文するのは面倒で完成を急ぎたいという場合は、デカール修復液を使用していきます。

デカール修復液を塗っても全て解決というわけではないで注意して下さい。修復液は筆塗りなので、どうしてもムラが発生してしまい均一な厚さにならない部分があります。そのため、大判のデカールだとよほど上手く塗らない限り脆い箇所が発生してしまいます。
また、修復液で上からコーティングをするので、細長いデカールなどは反りやすくなります。軟化剤を使用すればモールドに馴染むようになりますが、大きな曲面や激しい凹凸などには軟化剤を使用してもフィットが難しい箇所もあります。
以上の難点を考えながら使用するデカールの選択をします。写真3はキットに同封されているデカールです。これにデカール修復液を塗っていきます。デカール修復液の使用法や塗り方は 前述した記事を参考にして下さい。

大判の国籍マークは外せないので仕方ないですが、尾翼の部隊マークは貼りやすい形状の物を選んでいきます。形状が複雑なものや、細長い部分が多いデカールは、修復液を使用しても上手く貼る事は難しいです。また、機体を一周するようなラインのデカールも難しいので、出来るだけ貼りやすいデカールが多い機体を選ぶようにして下さい。
=🐣劣化したデカール貼り=
デカール修復液が乾燥したらデカールを貼っていきます。強めの軟化剤とデカールのりを用意しておくと作業が楽になります。のりが劣化している事が多いので、水に浸ける時間を十分に取って焦らずにデカールがさらりとスライドするまで待ってから作業をして下さい。
🐦️デカール軟化剤とデカールのりを下記に載せておきます。参考にして下さい。強めの軟化剤はアクリル塗料の塗膜に影響する場合もあるので、塗り過ぎには注意して下さい。
TAMIYA マークフィット ハードタイプ メイクアップ材シリーズ
修復液に塗り具合にもよるのでしょうが、大判デカールでも写真4のように問題なく貼れるものもあります。少しヒビが入っている箇所もありますが、これは塗装で修正するので気にしないようにします。激しい凹凸モールドに重なる部分は軟化剤を使用しても密着させるのが難しいので、その部分に当たる箇所にはナイフなどで切れ込みをいれたり切り抜くなどして対応します。。

写真5、6のようにヒビが大きく入ったり、欠けてしまっりする場合もあります。こうなってしまうと諦めてしまいたくなりますが塗装で何とか修復できるので、欠けた部分は気にしないで、ひび割れた部分は形が歪まないように気を付けながら貼っていきます。


胴体横の日の丸も写真7のように曲面がきつい箇所で縁が欠けてしまいました。デカールが欠けた場合は無理に修復しようとせずに、残ったデカールをきちんとした位置に貼る事だけに集中して下さい。劣化したデカールは欠けた部分同士を無理に合わせようとすると逆に収拾つかなくなる場合があるので、欠けた部分は塗装で修正する事にして作業を続けていきます。
胴体を一周するラインのデカールは一応貼ってみたのですが、曲面がきつい部分でバラバラになってしまったので、塗装で仕上げる事にします。

尾翼部分の部隊マークは問題なく貼れたのですが、後日デカールが乾燥したら写真7、8のように捲れてしまいました。こうなってしまうと、デカールのりや軟化剤を使用しても元に戻すのは難しいです。


正直この時点でかなりテンションが落ちるので、製作を放棄して箱にしまいたくなりますが、ここで諦めたい気持ちをグッと堪えて修正作業をしていきます。どうにもならないように思われますが意外と何とかなるので、折角ここまで製作したなら諦めないで修正作業をしてみて下さい。
今回はここで終了です。次回は修正作業になります。