前回は屋台の塗装について説明をしました。今回は肉の塗装になります。
🐔前回の記事を下記に載せておきます。参考にして下さい。
ミニアートの肉屋でジオラマを作る(ミニアート 1/35 肉屋)~⑩屋台の塗装と設置編~
=🐣食物の塗装について=
肉屋のキットで頭を悩ませる一番のポイントは肉の塗装だと思います。写真1のような半身の肉塊はなんとなくのイメージはあるけど、実際の色や細部がどのようになっているかをハッキリ理解している人は少ないと思います。
ネットなどで検索すれば画像を見る事ができますが、イメージはあるけど細かい箇所の色や状態が解らない物は、実際の写真を参考にするよりも絵や頭の中にあるイメージを中心にして製作した方が上手く見える場合があります。
ちょっと極端な話になりますが、絵で肉を表現するとします。実際の肉を参考にして丁寧に描いた絵よりも、一般的な漫画に出てくるような円柱に骨を付けた肉(🍖)の方が一目で肉と伝わります。
このように、実物を見て丁寧に模写するよりも、万人のイメージに合わせて表現した方がそれっぽく見える場合もあります。今回は箱絵や自分のイメージを参考にして肉の塗装をしてみます。
こういった食物系の製作や塗装をする時に大事なポイントを3つあげておきます。小物の製作や塗装に困っている方は参考にして下さい。
1.形状
一般的にそれと認知されている形状にすれば、それだけ解りやすくなります。今回はキットをそのまま使用するのであまり関係ないですが、パテなどで自作する場合は、どこがどうなっていれば製作したい物に見えるのか考えてから製作してみて下さい。
2.色と模様
混色は考えずに大雑把で良いので、一般的にどの色を使えば製作したい物に見えるかを考えます。今回の製作に当てはめると、肉部分は赤、骨や脂身は白という事になります。お
次に必要な模様があるかを考えます。肉自体に特徴的な模様はないですが、豚バラや霜降り肉でみられるような白い脂身が肉独特の模様になります。これで、赤い肉部分に白い脂身のスジがあれば肉に見えるようになると考えられます。
3.ツヤの状態
これは結構重要でツヤを変えるだけでそれらしく見える場合もあります。
例えば、トマトやナス、キュウリなど皮ごと食べれる食物は、みずみずしい感じがするので表面にツヤがあるイメージがあります。逆にジャガイモやニンジン、バナナなど皮を剥いて食べる食物は、表面がつや消しのイメージがあります。
このように、本物とは実際にツヤが違っていても、一般的なツヤのイメージに合わせるだけでより製作したい物に見えていきます。逆にツヤの選択を間違えると、おもちゃっぽく見えてしまうので注意が必要です。
=🐣肉の塗装=
肉の赤身部分は赤を使用した方が一番肉っぽく見えると思うので、写真3のようにタミヤアクリル塗料X7レッドで塗装をします。
外側は皮下脂肪に包まれていそうなので、写真4のように白に極少量の赤を混ぜた物で塗装しています。
次に骨部分を塗装します。タミヤエナメル塗料XF2フラットホワイトで、写真5のように背骨と肋骨を塗ります。
このままだと肉部分が単調になるので、エナメル塗料のフラットホワイトで写真6のように脂身を描いていきます。
エナメル溶剤を付けた筆でフラットホワイトを塗った部分を、写真7のようにぼかしながら骨や脂身の形を整えていきます。下地がアクリルだとエナメル溶剤に影響しないため、下地が溶ける心配がないので安心して作業ができます。
一回の作業で骨や脂身を表現するのは難しいので、写真8のように肉部分に軽く脂身を残す感じにします。ここで一度表面にタミヤアクリル塗料X22クリアーを筆塗りしてコーティングします。
🐥コーティングをしないと次の重ね塗りを整える時に、先に塗ったホワイトも拭き取られてしまうので注意して下さい。
コーティングが乾いたら、再びエナメル塗料のフラットホワイトで写真9のように骨と脂身を重ね塗りします。
エナメル溶剤で写真10のように形や脂身を整えていきます。
写真11のように再び骨と脂身を溶剤で整えたら、もう一度表面にクリアーを塗ります。これを肉っぽくなるまで繰り返していきます。
肉の塗装が終了した状態が写真12になります。ツヤが過ぎるとおもちゃっぽくなるので、最後はタミヤアクリル塗料X35セミグロスクリアーの筆塗りで半ツヤ状態にしています。
肉の塗装が終了した状態が写真13になります。
鶏肉は白に極少量の赤を加えた薄いピンクで基本塗装をしています。その後基本色に極少量の茶色を加えて凹部分を塗り、フラットホワイトで凸部にドライブラシをしています。最後にセミグロスクリアーを塗り半ツヤ状態にしています。
🐦️下記に今回使用しているキットを載せておきます。参考にして下さい。
肉はクリアーコーティングだとテカリが強くなってしまうので、半ツヤ程度のツヤにするのがお勧めです。自分のイメージに合わせてツヤを調節してみて下さい。
表現が難しい脂身などは、拭き取りとコーティングを繰り返しながら塗装を進めて行くと肉っぽくなります。一度の塗装で上手く表現できないものは、重ね塗りと拭き取りを繰り返す事で深みが出て微妙な表現が可能になります。作業自体も簡単なので、ちょっと塗装に困った時は参考にしてみて下さい。
ソーセージなどの加工品も写真14のように塗装します。ソーセージは白、赤、茶色を組み合わせた基本色にして、基本色に茶色を加えた影色と白を加えた明るい部分の色を使用して明暗を付けていきます。
細かいパーツなのでちょっと面倒ですが、明暗を付けると一気にソーセージっぽく見えるようになります。ツヤは無い方がハムやソーセージに見えると思ったので、コーティングせずにつや消しのエナメル塗料で塗装だけしています。細かいパーツなので、明暗を付けるだけで十分リアルな感じになります。
食品の塗装は一見難しそうですが、エナメル塗料とアクリル塗料を使い分けて少しずつ重ね塗りと拭き取りを繰り返していると、自然にいい感じのグラデーションや模様になっていきます。繰り返しの作業になるため少し手間はかかりますが、作業自体の難易度は低いので初心者にもお勧めの塗装法です。
自分が持つイメージ通りに塗れば、実物のような正確な塗装は難しいですが、比較的人に伝わりやすい仕上がりになります。食品サンプルのように実物大なら、実物と同じような塗装が必要になりますが、スケールが縮尺されている場合は、それに合わせてデフォルメされた塗装の方が伝わりやすいケースもあります。
実物と同じように塗装するのも大事ですが、それっぽく見えるようにデフォルメして塗装するのも一つの手段です。これは汚し塗装などにも当てはまる事なので、塗装に困った時はちょっと参考にしてみて下さい。
今回はここで終了です。次回は車両やフィギュアの設置になります。