クリアーパーツに傷が付いて曇ってしまい途方にくれてしまった経験をした人も多いとおもいます。今回はクリアーパーツが曇ってしまった場合の簡単な対処法を説明します。
=🐣クリアーパーツの曇りとは=
透明なパーツに傷が付くとなぜ曇るのかについて説明をします。基本的に光が真っ直ぐに通過する物体は、向こう側が透けて見えるようになります。ガラスやクリアーパーツがそれに当てはまります。
すりガラスなどは、この原理を利用して表面に細かい凹凸を付ける事で、光の通過角度を大きくずらします。そうする事で光が直進しないので向こう側が見え難くなります。
すりガラスを水拭きすると透明度が増したように見えるのは、ガラス表面の凹部分に水が溜まるため、ガラス表面が平面に近づき光の通過角度が直線に近くなるためです。ガラスに息を吹き掛けるとガラスが曇るのも、息中の水分がガラスに付着して表面が一瞬ザラザラになってしまうためです。
=🐣クリアーパーツの一般的な傷取り方法=
表面の凹凸を平面に近づければ透明度は高くなります。
一般的な方法は、ヤスリがけを繰り返し最後にコンパウンドで磨いて表面を平らにしていきます。キャノピーのパーティングラインを消す時などはこの方法で行います。これは、表面を削る事で凹凸の凹部分に平面に合わせる方法です。
表面全体を磨いて平らにするので、やり方によってはもとの状態よりも透明度を高する事も可能です。手間はかかりますが、最も確実に透明度を復活させる方法になります。
この方法は事前に行うには問題ないですが、クリアーパーツを接着した状態だとちょっと難しいです。パーツを接着した後や塗装が終了した状態での作業は難しくなります。
🐔下記にクリアーパーツのパーティングライン処理について詳しく説明した記事を載せておきます。こちらも参考にして下さい。
【初心者向け】ブルーインパルスを塗装で製作する方法(ハセガワ 1/48)~②キャノピーの製作編~
=🐣クリアーパーツの簡易修復方法=
今回説明するのは凹凸の凸部分に平面を合わせる方法で、凹部分を埋める事で平面に近づけていきます。特別な材料や工具も使用しないので、完成間近にクリアーパーツが傷で曇ってしまい、悩んでいる人は参考にして下さい。
写真1はクリアーパーツにピグメントをまぶした状態です。軍用車両のガラス面を汚したい時などに行う方も多いと思います。

ピグメントをまぶした後で、ワイパーなどで拭き取った跡を表現するために綿棒などでピグメントを拭き取った際に、力を入れすぎて表面に傷を付けてしまったという事を経験した人も多いと思います。
写真2のクリアーパーツの右半分が綿棒で拭き取った状態です。ピグメント自体が細かい粒子なので、力を入れて拭き取ると細かい目のヤスリでヤスリがけをした状態と同じになってしまいます。
🐥ピグメントの拭き取りは、水を浸けた筆などで優しく拭き取ると跡が残り難くなります。

慌てて周囲のピグメントを水で流すと一瞬パーツがクリアになりが、これは凹部分に水が溜まって平面に近づいただけなので乾燥すると写真3のように右半分が傷で曇ってしまいます。
パーツ状態ならヤスリがけとコンパウンドを使用して磨く事で透明度を復活させる事が可能ですが、パーツを接着した状態だと途方に暮れてしまいます。とくに汚し塗装をする時は完成間近な状態なので、こうなってしまうとかなりショックが大きいです。

ここで応急的な処置になりますが、表面の傷を埋めて透明度を復活させます。クリアーパーツの傷を埋めるとなると、透明レジンや透明シリコンを想像してしまう方もいると思いますが、アクリル塗料のクリアーで傷を埋める事が可能です。
アクリル塗料のクリアーは粘性が高く、そのまま塗ると筆ムラが強く出てしまうので、うすめ液と1:1程度の比率で薄めた状態で使用します。薄め具合は傷の深さや筆塗りのしやすさに合わせて調節して下さい。
薄めたクリアーを曇った部分に筆で塗るだけで透明度が復活します。筆を反す時に表面が荒れてしまう場合があるので、なるべく一度の筆運びで塗るようにして下さい。
🐦️クレオス水性ホビーカラーのクリアーは透明度が高いのでこの作業にお勧めです。下記に載せておくので参考にして下さい。
GSIクレオス 新水性ホビーカラー クリアー 光沢 10ml
クリアーが乾いた状態が写真4になります。完全に透明度が復活するわけではないですが、写真5のように反対側が透けて見える程度には復活します。


重ね塗りをすればさらに透明度が増しますが、完全乾燥前に重ね塗りをすると下のクリアーが溶け出して、表面が荒れてしまうので注意して下さい。
筆ムラの凹凸のため若干向こう側の景色が歪んで見えてしまうという欠点がありますが、曇って内部が見えないよりはましだと思います。材料もアクリル塗料のクリアーとうすめ液のみで、作業自体もすごく簡単なので試す価値はあると思います。
完成間近でクリアーパーツが曇ってしまい、テンションが下がって完成を諦めてしまっているキットがある方はちょっと試してみて下さい。完全修復は難しいですが、向こう側が透けて見える程度には回復します。
前述したように、光が直進して通過すれば透明度が増していきます。それを意識しながら作業をすれば、もっと良い修復方法や透明度を高くする方法を思い付くかも知れないので、クリアーパーツを扱う時は今回の記事を思い出しながら作業をしてみて下さい。