前回は手すりの取り付けについて説明をしました。今回は空中線の製作になります。
🐔前回の記事を下記に載せておきます。参考にして下さい。
【初心者向け】フルハルモデルを筆塗りで仕上げる(フジミ 1/700 高雄 エッチングパーツ付き)~⑭手すりの取り付け編~
=🐣空中線について=
艦船模型の空中線は一見難しそうに見えますが、ある程度コツを掴んでしまえば意外とスムーズに作業が可能です。もちろん、空中線を張る数は多いのでそれなりに面倒ですが、仕上がりの効果はかなり高いので興味のある方は是非挑戦してみて下さい。
一番の悩み処は空中線の素材だと思います。今回は伸ばしランナーを使用して製作していきます。伸ばしランナーの製作が苦手な人は0、2mmの真鍮線を使用して下さい。
0、1mmの方が細いので空中線には向いているのですが、0、1mmの真鍮線はクセが付きやすいです。0、2mmだと曲げようとしないと曲がらないですが、0、1mmは糸のように自然に曲がっていくので間隔の広い箇所は弛みなどが発生してしまいます。真鍮線の扱いに慣れていない人は0、2mmの物をお勧めします。
=🐣参考資料=
次に問題なのが、どの場所に張ればいいのか解らないという事だと思います。記録写真ではハッキリ解らないし、空中線まで記載されている資料というのはなかなか見つからないです。
そのような時に役立つのが、空中線を取り付けた完成品の写真です。下記に載せた本は1/100、1/200など博物館で展示するような大きさの艦船模型を集めた本になります。戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦などさまざまな種類の艦船模型が掲載されていて、どれも大型模型なので空中線がしっかりと表現されています。
製作したい艦船が載っていなくても、同型艦などが掲載されているのである程度の参考にはなります。また、プラスチックパーツだとよく解らない箇所なども、大型模型だと形状などがハッキリ解るのでキット製作にも役立ちます。発売時期が古いので書店で見かけるのは難しいかもしれませんが、手元に一冊あるとかなり役立ちます。興味のある人は是非購入してみて下さい。
=🐣空中線の製作=
だいたいこの辺りに取り付ければ空中線っぽく見える、という感じでポイントを絞って取り付けていきます。戦艦や駆逐艦にも応用できるので、空中線で悩んでいる方は参考にしてみて下さい。
まずは伸ばしランナーを集めます。できるだけ同じ太さの物を使用していきたいので、まずは多めに伸ばしランナーを製作して、そこから写真1のように使用したい太さの物を選んでいきます。
🐔伸ばしランナーについて詳しく説明した記事を下記に載せておきます。こちらも参考にして下さい。
【初心者向け】簡単ディテールアップ法 ~伸ばしランナー基本編①~
【初心者向け】簡単ディテールアップ法 ~伸ばしランナー実用編②~
【初心者向け】簡単ディテールアップ法 ~伸ばしランナー応用編③~
伸ばしランナーはプラスチックなので、プラスチック用の接着剤で接着してしまいそうになりますが、空中線のような細い場合は接着剤でプラスチックが溶けてしまい、弛んだり折れたりするので瞬間接着剤を使用していきます。
最初は前部マストの信号索を取り付けます。前部マストの信号索は最低でも片側4本はないと、信号索っぽく見えないので4本以上取り付けるようにして下さい。
伸ばしランナーを艦橋後部に先に接着して、そのまま写真2のように前部マストに接着します。伸ばしランナーは長いまま使用して、取り付けてからニッパーではみ出した部分を切断して整えます。
艦橋後部に取り付ける場所は、伸ばしランナーが束になっても目立たない奥まった部分にします。もちろん正確な取り付け部位を自作しても良いのですが、この段階での追加工作はかなり厳しいので、それっぽく見えて目立たない箇所に取り付けます。
左右の信号索の取り付けが終了した状態が写真3になります。この後ではみ出した伸ばしランナーを切断します。
次に船首の旗竿から前部マストにかかる空中線を取り付けます。写真4の青い点部分に伸ばしランナーを取り付け、赤い点の部分で接着します。旗竿は上部先端に取り付けるのではなく、中央部分あたりにするとそれっぽく見えます。
第2砲塔上部にアンテナがあります。アンテナ左右から前部マストに向かって空中線を写真5のように取り付けます。
前部マストから後部マストに続く空中線を取り付けます。写真6の前部マスト端の青い点に伸ばしランナーを取り付け、後部マスト端の赤い点で接着をします。
この部分は写真6のようにマスト左右の空中線だけで問題ないのですが、物足りない場合はマスト中央部にも同じように伸ばしランナーを取り付けて下さい。今回は中央部にも空中線を張って製作しています。
後部マストから船尾かかる空中線を取り付けます。写真7の後部手すりの青い点部分に伸ばしランナーを取り付け、後部マストの赤い点部分で接着しています。
船首、船尾の空中線は旗竿からではなく、左右にある小さな突起に繋がっています。この小さな突起を再現しているキットもありますが、この高雄は再現されていないので船尾はそれっぽい箇所で取り付けています。船首部分は、手すりに取り付けるよりも見映えが良いので旗竿に取り付けています。
次に艦橋から伸びる空中線を取り付けます。写真8の青い点部分に伸ばしランナーを取り付け、前部空中線と重なる部分の赤い点部分で接着しています。艦橋部分の取り付け位置は、機銃裏などの目立たない部分にしています。
戦艦や重巡洋艦などの艦橋が大きい艦は写真8のように2本必要ですが、軽巡洋艦や駆逐艦などの小型な艦橋の場合は1本でも充分です。
煙突から伸びる空中線を製作します。写真9の青い点部分に伸ばしランナーを取り付け、左右の空中線に重なる赤い点部分で接着しています。写真9のように前後に傾く感じで取り付けます。後部煙突も同じように2本空中線を取り付けます。
マスト中央部の空中線を取り付けた場合は、写真10のように煙突前方と後方から伸びる空中線を取り付けます。前部煙突と後部煙突の青い点に取り付けて、中央部の空中線に重なる赤い点部分で接着しています。
中央部を上から見た状態が写真11になります。
後部マストの信号索を取り付けます。後部マストの信号索は、前部と異なり片側2本以上あれば大丈夫です。写真12の青い点部分に伸ばしランナーを取り付けて、マストの赤い点部分で接着しています。
後部マストから伸びる空中線を取り付けます。写真13の青い点で取り付けて、後部の空中線を重なる赤い点部分で接着しています。
これで空中線の取り付けは終了です。
空中線の取り付けが終了した状態が写真14、15になります。ちょっともの足りないと感じた人は空中線の数を増やしてみて下さい。
空中線を船体色で塗装した状態が写真16、17になります。
空中線の取り付けは難易度が高そうですが、実際やってみるとエッチングパーツの加工よりも簡単です。数が多いのでやや面倒ですが、長さを計る必要もないので思った以上に作業が進みます。
空中線はかなり効果が高いので、興味のある方は是非挑戦してみて下さい。
今回はここで終了です。次回は仕上げ作業になります。
🐔今回の記事一覧を下記に載せておきます。目次代わりに使用して下さい。